平成22年第1回予算特別委員会第2分科会
平成22年03月18日
小野寺委員
それでは、通告に従いまして、質問をしてまいります。
まず、アイヌ文化振興財団の事業に関して、財団が発行する年次報告書についてですけれど も、財団の事業の成果を示す資料として、年次報告書が毎年出されております。これを見れば、普通、財団事業の実施状況や、その成果がわかるのが当然である と考えますが、実は、よく読むと、事業全体の決算額が明記されていない事業があったり、また、あるものは、イベントの実施場所、開催日や参加人数の記載が ないなど、この事業報告書には大きな不備がありまして、私は、この事業報告書を使って質問をつくる際に、余りの情報のなさに、非常に苦労をいたしました。
財団の事業内容や、その成果については、国と道で3億円ずつのお金が投入されているということでございますので、国民のだれもがわかりやすい形で事業報告書が公開されるのが当然であると考えますが、まず見解を伺います。
村井総務課参事
行事の開催日、場所、参加人数、助成金額などといった基本的な事項につきましては、事業が適切に実施されているかをチェックし、 助成事業の不適切な執行を防ぐという点で欠かせない情報であるとともに、事業の成果を検証する上で重要な情報でありますことから、今後、報告書の作成に当 たっては、事業の全体像がこの報告書で把握できるように、記載事項を十分検討するよう、財団に求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
質問はこの程度でとどめますが、私は、意図的に日付だとか場所を書いていないような気がします。それは、また別の機会に質問しますが、いろいろな事業を組み合わせて、いろいろな方向からお金を取っているというような事例も多々見受けられるからでございます。
次の質問ですが、新たな不適切事案について伺います。
道においては、アイヌ協会釧路支部における不適切な事案を調査し、2月22日の環境生活委員会に報告をしたと聞いておりますが、最近、実績報告書では交通 費が支払われていることになっているのに、実際には受け取っていないという方々がたくさんいる事例を私は発見いたしました。もし、この事例があるのであれ ば、道はどのように対応するのか、お伺いします。
笠原環境生活部次長
ただいまお話しの件は、平成16年度に、アイヌ協会網走支部が、財団の伝統工芸複製助成を受け実施し た事業と伺っておりまして、事業完了報告書によりますと、13名の方が参加いたしまして、全員に交通費が支払われているということになっているわけでござ いますが、実際には、一部の人に支払われていないというふうにも伺ってございます。
道といたしましては、今後、現地調査を行うなどいたしまして、事実関係を正確に把握した上で、必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
小野寺委員
一議員が探して、これはおかしいのじゃないのかと、モグラたたきのようなことをしている場合じゃないと思いますので、適切な対応をお願いします。
次に、財団職員についての対応でございますけれども、過去に、財団幹部の誤った判断によって、一度払い込まれた助成金を返還させられた支部があります。
また、3月中旬に、この事業の返還金を財団に払ったということでございますが、この期間に財団がどのように使い切ったのか、非常に不思議なところが残りま すし、実は、この支部の問い合わせに対して、財団は、何に使ったのか、一切答えなかったということがわかっております。
この一切の対応は、道から出向していた職員がしていたと聞いて、私は愕然としておりますが、3月中旬に、一度、この支出は可と認めたにもかかわらず、お金を返せと言ったことに関して、この命令は妥当だったのか、伺います。
また、この事実を道は知っていたのか、この時期に財団はこのお金をどのように処理したのか、それは適切だったのか、あわせてお伺いします。
村井総務課参事
返還された助成金につきましては、他の助成事業ではなく、パンフレットの増刷などの管理的な事業に振り向けられたようでございます。
当時から相当の時間が経過しておりますので、詳細については不明でございますが、事務処理に当たっては正確を期すよう、また、問い合わせに対しては丁寧に回答するよう、財団職員を指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
これは職員のミスですけれども、実際には、その支部は70万円以上のお金を返還させられていて、そのお金が返ってこないということは非常に問題であると思いますが、この点に関して、しっかり検証していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、返還金の負担についてでございますが、今回、アイヌ協会釧路支部関係の事案で返還金が発生しますが、事業に参加したのに謝金などを受け取っていない という支部会員にしてみれば、自分が受け取れなかった被害者であるにもかかわらず、その事実を道に話せば、その分の返還も命じられることになって、その方 には二重の不利益が生じることになります。
実際、ある支部会員から、問題のある事例について声を上げたいが、結局、自分たちが不利益をこうむるので、それを証言できないというような話も伺っております。
このような懸念に対して、道はどのようにこたえるのか、これらの方々の不安を払拭するためにどうするのか。これをしっかりしないと、しっかりとした調査ができないということを指摘させていただいて、質問します。
村井総務課参事
しかしながら、支部による返還が難しい場合には、アイヌ協会本部に対し、返還請求をすることとしております。
以上でございます。
小野寺委員
アイヌ協会本部に対して返還請求をするということが初めて公になったわけでございます。これは、文書を出して、道とアイヌ協会のほうで内々に話し合って いるというふうには聞いておりましたが、実は、平成22年3月6日のアイヌ協会の理事会において、ある理事からの、厚岸支部では金がなくて払えない、未納 になったときの対応はどうするのかという問いに、アイヌ協会の事務局は、原因、責任は各支部にあると言い切っております。
また、平成22年3月7日の総会において、事務局は、ABC講座は協会が受託先なので、協会が負担、財団事業は支部が契約当事者なので、基本的には支部負担、協会としては道義的責任ありとだけ言っております。
これは、道とのやりとりと明らかに違うような発言を各支部長の前でしているということで、私は、アイヌ協会の対応が非常に不適切だというふうに感じますが、もう一度、これを確認させてください。
村井総務課参事
以上でございます。
小野寺委員
よろしくお願いします。
次に、先ほど言った網走支部の事案についてでございますが、網走支部の事案では、多くの会員が交通費をもらえなかった 被害者であるということは先ほども言いましたが、このお金はどこに消えたのかは、時間の都合上、別の機会に議論をさせていただきますが、この不祥事に関し て、いろいろな情報が財団に寄せられていたにもかかわらず、財団は、この情報を一切知らないとしております。
この件に関して、事業報告書にも多大な不備があることがわかっており、支部だけではなく、財団に対しても調査をすべきであるというふうに私は考えておりますが、見解を伺います。
笠原環境生活部次長
小野寺委員
次に、再発防止に向けた今後の取り組みについてでございますが、先ほど言ったように、今、モグラたたきのような状態になっております。
財団事業を、本当にアイヌ文化の振興に役立つ存在として進化させるためには、まずは、このような事態を生んでしまった原因はどこにあるのか、しっかり検証する必要があるというふうに考えております。
なぜ、財団において、このようなことが起こり続けていたのか、どのような問題があったのかをお伺いします。
その上で、財団の事業をステップアップさせるために、道として、どのような考えを持っているのか、お伺いをいたします。
笠原環境生活部次長
財団の助成事業におきまして、不適切な事案が繰り返されてきたことは、すべてが税金によって賄われているという意識が薄いと言わざるを得ません。
したがいまして、財団において、それぞれの事業が、目的に沿って適切に行われているかどうか、どのような成果が上がっているのか、また、どこかに問題点は ないのかということなどにつきまして、組織的に点検評価をすることもされておらず、専ら、事業を遂行することに目が向いていたのではないかというふうに考 えているところでございます。
また、組織の中立性でございますとか、事業採択の透明性を確保するような運営にも配慮していくことも必要ではないかというふうに考えてございます。
今後は、事業の成果をしっかりと評価するとともに、その結果を踏まえまして、次年度の事業展開に生かしていくことが重要であると考えてございまして、アイ ヌ政策の全国展開に向けましても、財団が、常に、プラン、ドゥ、チェック、アクション、いわゆるPDCAサイクルの視点を持ちまして、それぞれの事業を目 的に沿って適切に推進するよう、財団との連携を一層密にして取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
次に、アイヌ協会について、3点質問します。
まず最初ですが、昨日、アイヌ協会の改善策が道に出されたようであります。私は、それを見たわけではございませんが、果たして実効性を期待できる内容であったのか、非常に大きな疑義を持っております。議会にそれを示すのはいつか、まずお教えください。
村井総務課参事
以上でございます。
小野寺委員
ちょっと確認させてほしいのですけれども、もし、この改善策が道の考えと明らかに乖離し続けていた場合、それでも委員会に提出をするのか、しないのか、お教えください。
笠原環境生活部次長
以上でございます。
小野寺委員
ということは、今の答弁では、実効性が確認できない場合は報告をしないということで確認させていただきます。
次に、3点目は、アイヌ協会における責任の所在についてでございますが、一連の不祥事に関して、アイヌ協会における責任の所在をはっきりさせるべきであると私は考えておりますが、いかがでしょうか。
また、それに関して、道も、ある程度の考えを持ってしかるべきであるというふうに考えております。そのような一定の考えを持った上で、協会が出してきた改善策に対して物を申す必要があると思っておりますが、あわせて見解を伺います。
稲垣環境生活部長
小野寺委員
これで私の質問は終わりますが、役員には肝に銘じてほしいというふうに言っておりましたが、肝に銘じていないのです。私は、あしたも違う所管審議で質問しますが、2月においても不適切なことを行っているということです。これは協会本部でです。
この件に関しては、知事に、アイヌ協会の役員の責任、また、アイヌ文化振興財団の事業を含むアイヌ政策の根本的な問題を聞かなければいけないというふうに思っておりますので、委員長、お取り計らいのほどをよろしくお願いします。
最後に、この質問をするに当たって、環境生活部の担当のセクションの方には、誠実かつ精力的に、非常にすばらしい対応をしていただいたということで、この点については、非常に感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。