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第1回予算特別委員会第2分科会

平成21年03月24日

小野寺委員

 それではまず、道のアイヌ施策についてお伺いをしていきます。
 
私は、アイヌ施策を充実させることに異議を唱えるものではございません。しか し、国連において、アイヌ民族が先住民として指定を受け、今後、道と国がともにアイヌ施策の充実を図っていくというのであれば、今までの施策に問題点が あったのか、なかったのかをしっかりと検証して、その上でアイヌ施策の充実を図っていく必要があるというふうに考えております。そういう意味での質問だと いうことを御理解いただきたいと思います。
 
まず、アイヌ子弟大学等修学資金等貸付制度についてお伺いをしますが、これは、いつから、どのようにして行われ、何人に対して資金が貸し付けられたのか、お教えください。
岡田環境生活部次長
 アイヌ子弟大学等修学資金等貸付制度についてでございますけれども、アイヌの子弟に対する修学支援のため、昭和51年度から、国庫補助を受けて、給付制 度を開始したものでございますが、国は、昭和57年度の予算編成におきまして、当制度の給付額が、国の一般施策として実施されております、日本育英会法に 基づきます育英資金の貸与額を上回る状態となったため、育英資金との均衡から、給付を貸付に改めることとし、制度改正に当たりましては、修学資金を給付し ていた状況に比べ、著しく変化を来さないように配慮することとされたため、道におきましては、国の指導に基づきまして、北海道ウタリ協会との協議を経まし て、昭和57年度に貸付制度として条例化されたものでございます。
 
また、これまでの修学資金貸付制度の利用者数は、昭和57年度から平成19年度までで986人となっております。

小野寺委員

 経緯はわかりました。
 
当初は、補助、助成であったものが、途中で貸付制度に変えられたということでございますから、この制度で貸したお金は 返ってきて当然であるというふうに思っておりますし、納税されている方も、そのようになっているというふうに思っているだろうと思いますが、実際に貸し付 けた金額と、道に返ってきた金額、及び、返してきた人数をお教えください。
 
あわせて、なぜ、そのようなことになってしまっているのかも御説明願います。
長谷川総務課参事
 修学資金等の貸し付け及び返還額についてでありますが、昭和57年度から平成19年度までの貸付金額は、合計で24億9171万円となっております。
 
また、返還者は1名で、現在、返還中でございます。平成19年度末で約159万円が返還されているところであります。
 
なお、減免対象となった総額は21億1612万円となっております。
 
また、これまでの修学資金貸付制度の利用者数のお尋ねでございますが、昭和57年度から平成19年度までで986人となっております。
 
減免につきましては、貸付条例第8条及び同施行規則第11条に基づいて行っており、借り受け者から提出のあった減免申請に係る審査の結果、返還の債務を履行することが困難であると認めた場合に返還免除となるものであります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 この制度で986人の生徒に貸して、返ってきたのは1人だけで、24億円以上が返ってきていないということに対して、私は非常に驚きを禁じ得ないわけで ございますが、返してきている1人についても、本来は減免していただけるものを、多分、良心の呵責と申しましょうか、そういうことで返してきているのだと いうふうに思っております。
 
24億9000万円を貸して、返ってきているお金が159万円ですが、これを納税者にどう説明するのか。私は、説明がつかないと思いますが、次の質問に移ります。
 
そもそも、この貸付制度についてでございますが、生活に困窮した世帯の子弟に対してお金を貸すというものでございます。生活に困窮した世帯の収入について はどのように計算をされているのか、また、それは、社会通念上から見て、本当に生活に困窮しているというレベルなのか、お示しください。
長谷川総務課参事
 生活に困窮した世帯についてでありますが、貸付条例におきまして、「貸付の対象」として、「経済的理由により修学が困難な者であること。」を条件の一つ としているところであり、当該基準の判定に当たりましては、修学資金等の貸し付けを受けようとする者の属する世帯の全員の総所得金額から、母子・父子世帯 であることや修学者のいる世帯であることなどの事情に応じた特別控除を行った後の認定所得額を算定し、この認定所得額をもとに、借り受け者の世帯の全員の 人数に応じた所得基準額と比較いたしまして、当該基準額以下の者を、経済的理由により修学が困難な者としているところであり、この算定方法は、日本学生支 援機構が、経済的理由によって修学が困難な者として判断する基準と同じであり、整合を図っているところであります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 今、御答弁の中で、日本学生支援機構の基準と整合を図っているというふうにお答えがありましたが、ちょっとお教え願いたいのですけれども、日本学生支援 機構では、機構からお金を借りている者が奨学生としてふさわしいかどうかの認定を毎年しておりまして、これを怠った場合は、奨学生としての身分を廃止され ております。道としても同じような取り扱いをしていたのか、お教え願います。
長谷川総務課参事
 大学修学資金等の申請についてでありますが、道におきましては、毎年、申請いただいたものを審査し、経済的に困難な者であるかどうかを判定しているところであります。
 
以上です。

小野寺委員

 整合性と言っておりますけれども、日本学生支援機構からお金を借りて大学に行っている学生は、全員が一生懸命にそのお金を返すわけでございます。まず、ここが根本的に整合がとれていないところです。
 
また、この機構では、その学生がしっかり勉学に励んでいるのかどうなのか、毎年、ちゃんと報告をさせている。しかし、皆さんはさせていない。ここも大きく 整合していないところです。それなのに、日本学生支援機構と整合を図っているというのは詭弁であると私は思っておりますので、これは強く指摘をさせていた だきます。
 
次に、修学資金等の返還を減免されているということでございますので、それについてお伺いをいたします。
 
確かに、この条例 には、ある条件を満たすと減免するという条文がございます。しかし、減免を認定する際、もともと生活に困窮した世帯の子弟に対して修学資金を貸し付けると いうのに、減免の条件もまた、生活に困窮した世帯の子弟ということでは、これは返さなくていいと言っているのと同然のことだというふうに私は思うわけでご ざいます。どう思うのか、見解を伺います。
 
また、条文の減免規定にはない、大学を卒業した学生の年収までも要件にされているようでございますが、一体、幾らまで減免になるのか、お示しください。
長谷川総務課参事
 修学資金等の返還の減免についてでありますが、貸し付けを決定する際には、貸付申請時における、貸し付けを受けようとする者が属している世帯の全員の収入状況により、「経済的な理由により修学が困難な者」に該当するかについて判断しているところであります。
 
また、返還の債務の減免の決定につきましては、卒業後において、減免申請時における借り受け者が属している世帯の全員の収入状況によりまして、「生活困難 のため、修学資金等の返還の債務を履行することが困難である」に該当するかについて判断しているところであり、世帯単位での収入を基準としているところで あります。
 
また、減免対象となる年収についてですが、これは、世帯人数ですとか収入状況により異なるところでありますが、一つ例を出して申し上げますと、札幌市に単身で借家に住んでいる23歳の者の場合でありましたら、年収が585万円以下であれば、免除の対象となっております。
 
以上です。

小野寺委員

 どこの世界に、大学を卒業してすぐ年収が585万円になる人がいるのでしょうか。これは、ほとんど減免しようと思ってつくった規定と言わざるを得ません。
 
1点確認したいのですけれども、貸し付ける際の基準と、減免する際の基準はどういうふうに違うのか、もう一度お教え願えますでしょうか。
 
いいです。貸し付けるときの規定と、減免する規定はどのように違うのか、ここですぐに答えられないぐらいの話でしたら、次に進みます。
 
どちらにしても、また後ほど関連した質問はしますけれども、そのような認識では──皆さんに、かなり早い段階で質問を出しました。半月以上前に質問を出し たのですけれども、意見交換でも、返ってくる答えは、のらりくらりと中途半端なことばかり話をされまして、実際に、話し合いは決裂したということでござい ますけれども、そのような部の態度が、このような制度を温存していた温床になっていたと言わざるを得ないということをここでは言わせていただきます。
 
次に、減免の決定について伺いますけれども、この貸付制度は、お金を借りた学生は20年間かけてそのお金を返すことになっておりますが、減免は最短で何年 で、平均すると、どれぐらいで減免をしているのか、1人に貸した貸付金のうち、最も多い金額は幾らだったのか、お教え願います。
 
また、20年待たないで減免をしているということは、納税者の道民にとっても全く納得のできないことであると思いますが、なぜ短期間で減免をしてしまっているのか、お聞かせください。
長谷川総務課参事
 減免の決定などについてでありますが、修学資金等の返還は、貸付条例及び条例施行規則に基づき、大学を卒業したときなどの返還事由が生じた場合には、返還計画書を知事に提出することとなっております。
 
借り受け者が減免を受けようとする場合には、卒業後の収入を確認できる書類を添付の上、減免申請を行うこととなり、道における減免措置の審査や決定期間を考慮いたしますと、平均して1年未満の期間で決定しているところであります。
 
また、1人の借り受け者に対し、最も減免した金額につきましては、貸付期間を大学等の正規の修業年限以内とする条例の改正以前の事例ではございますが、昭和63年から平成13年まで、大学通信教育受講生に貸し付けた1213万2000円となっているところであります。
 
減免の可否の決定に関する期間につきましては、給付制度から貸付制度への改正に当たり、アイヌの人たちの生活に著しく変化を来さぬよう、生活困難な方に配 慮したものでありますが、その後、国とも協議をいたし、減免対象者に対する収入確認について、卒業後のほか、返還事由の生じた日の翌月から起算して3年後 に、再度、収入の確認をすることとし、昨年4月に取り扱いを改正したところであります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 1人の学生に対して、14年間、総額で1213万2000円を貸し付けていて、それを減免しているということでございますが、実際に、この生徒は卒業したのでしょうか、ちょっとお聞かせ願えますか。
長谷川総務課参事
 ただいまお話しの、大学通信教育受講生についてでございますが、平成13年度までということで打ち切っております。
 
以上でございます。

小野寺委員

 この生徒は、しっかりと勉学して卒業した生徒かどうかを聞いているのです。
 
1人の学生に1000万円以上貸し付けて、問題だと認識していて、 しかも、その学生について、皆さんは、実は卒業したかどうかも今の段階ではわからないというようなことで、本当に道民に説明責任を果たせるとお考えでしょ うか。実際に、この生徒は1200万円を何に使ったのか、しっかりと把握をしておりますでしょうか、お聞かせください。
長谷川総務課参事
 大学通信教育に関するお尋ねでございますが、この受講生につきましては、授業料、教材費、それから、通信教育でございますので、スクーリングに要した経費などを内訳として貸し付けたところでございます。
 
以上です。

小野寺委員

 だから、この生徒は、しっかりと1200万円を勉学のために使ったということを確認しているということでいいのですね。
福原賢孝委員長
 理事者側に申し上げます。
 
質問の趣旨を体して、きちんと答えるようにお願いいたします。

小野寺委員

 もう結構です。
 
こんな大問題をしっかりと調べていないという、その認識が本当に問題だと思いますし、皆さんは納税者の道民にどう説明するので すか。1人に対して1200万円ですよ。しかも、この学生は、大学の通信教育講座を本当に受けていたのでしょうか。そういう話ですよ。それを今の段階でも 調べていないということは大問題でございます。
 
時間の関係上、次に行きますが、減免の取り消しについて伺います。
 
減免の認定をもらった者が認定条件等を偽った場合、例えば瑕疵があった場合、事実と異なると判明したとき、明らかに問題があるというふうに皆さんが判断した場合には、この減免を取り消すことができるのかどうか、時効はどれぐらいの期間なのか、あわせてお教えください。
岡田環境生活部次長
 減免の取り消しについてでございますが、修学資金等の返還の減免の可否は、借り受け者から提出された返還金減免申請書、及び、返還の債務を履行することが困難であることを確認できる書類により、審査し、決定しているところでございます。
 
減免対象と決定した借り受け者に関し、その後、事実と異なる申請が行われたことが判明し、かつ、減免の対象となるかどうかの再審査が必要と判断した場合に は、借り受け者には、改めて申請の手続をとっていただくことになり、審査の結果、減免の取り消しもあり得るものでございます。
 
また、大学等の修学資金貸付制度は、金銭貸借契約でありますから、民法に依拠することになります。民法上では、私法上の債権に関する一般の債権として、その金銭貸借の消滅時効が10年となってございます。

小野寺委員

 わかりました。
 
では、瑕疵のある場合には、10年前にさかのぼって、その減免を取り消すことができるということで確認しましたが、もう一つ確 認をさせていただきたいのは、今まで、減免をするに当たって、しっかりと手続をとってこなければならなかったのは当然でありまして、貸付条例施行規則とい うものがありますが、この施行規則にのっとって、きっちりと手続を行ってきたということで確認してよろしいでしょうか。
長谷川総務課参事
 施行規則に関するお尋ねでございますが、施行規則にのっとって事務を進めてまいりました。
 
以上でございます。

小野寺委員

 わかりました。
 
では、次の質問に移りますけれども、大学等修学資金等貸付制度の問題事例についてでございますが、先ほど言った問題事例もござ いましたが、今まで、この貸付制度の運用については、何度か微調整をしてきたはずでございます。それは、貸し付けた学生がいろいろ問題を起こしたことが原 因であったと考えますが、道として、問題ありとした事例はどの程度あり、それに対してどのように対応したのか、お伺いをいたします。
長谷川総務課参事
 大学等修学資金等貸付制度の問題事例についてでありますが、大学通信教育受講の申請におきまして、必要経費の内訳を確認せずに申請を受け付けた事例があ りましたことから、平成14年度の貸し付けから、貸付申請書経費内訳書を徴取し、適正な貸付額となるよう、確認の厳正化を図ってきたところであります。
 
また、平成14年に、大学通信教育受講者のうち、修業年数が長期にわたったため、貸し付けも長く受けていた事例もあったことから、貸付条例を改正し、平成15年度の貸し付けから、貸付期間を大学等の正規の修業年限以内とするよう規定したところであります。
 
以上です。

小野寺委員

 今の答弁は、多分、大学に行かないで、大学通信教育という名のもとに、入学して、後はずっとお金をもらい続けて、減免をしてもらって、お金を懐に入れた 学生がいた、道は使い道は調べていなかった、そういう事例が多々あったという認識を示されたものであると思いますが、もともと、皆さんのアバウトさという か、いいかげんさが、とんでもないことを引き起こして、道民の皆さんに説明のつかない事態を招いているということをしっかりと認識していただきたいと思い ます。
 
次の質問は、減免規定についてお伺いをしますが、この減免規定は、だれが考えてもおかしい。先ほども言ったように、初任給で年間585万 円以上もらうと減免されないような話をされておりましたが、この減免規定について、国の方から今まで指導はなかったのか、お伺いをします。
岡田環境生活部次長
 減免規定に関する文部科学省からの指導についてでございますが、給付制度から貸付制度に移行した昭和57年度当時は、所管の文部省からは、アイヌの人た ちに対し、著しく変化を来さないようにとの配慮について指導があったところでございますが、平成18年に、文部科学省から、財務省の指導により、本制度が 貸付制度であることを明確に周知すること、返還の免除基準や貸与月額の上限額について見直してほしいとの意向が示されたところでございます。
 
こ のため、道といたしましては、北海道ウタリ協会や文部科学省と協議をしながら、返還基準額の設定の見直しを行った結果、それまで、生活保護法の保護基準に より算定する最低生活費の年額の1.7倍を返還免除基準としてきたものを、平成19年度の入学者から、これを1.5倍に引き下げたところでございます。
 
以上です。

小野寺委員

 財務省の指導で言われた、本制度が貸付制度であることを明確に周知することというのは、貸し付けたお金をしっかりと返してもらえと言われているのと同然 ですけれども、最終的に、現段階においても、1人からしか返ってきていないということに対して、皆さんは何も感じないでしょうか。
 
また、返還の免除基準や貸与月額の上限額について見直してほしいということに関して、対応したのかどうか、お教え願えますか。
長谷川総務課参事
 財務省からの意向についてでありますが、補助制度が貸付制度に移行して、ある程度の年数が経過したことや、国の財政が厳しいことなどから、財務省から文部科学省に対し指導があったと聞いております。
 
また、貸与月額の上限額についてでありますが、現在の上限額は、国公立大学あるいは私立大学の授業料から見ますと、大体相当する額でありますことから、この事情につきましては、国に対して説明し、理解をいただいているところであります。
 
以上です。

小野寺委員

 多分、国は理解していないというふうに思います。文科省は、道の免除規定は甘過ぎる、再三、改善を申し入れたが、受け入れられなかったというコメントも出しているということを十分に認識していただきたいと思います。
 
次の質問でございますが、北海道ウタリ協会の大学進学貸付制度と、皆さんの行っている貸付制度の違いはどこにあり、返還率はどのようになっているのか、また、ウタリ協会での貸付制度には減免規定があるのかないのか、ないのであれば、それはなぜなのか、お教えください。
長谷川総務課参事
 貸付制度の違いについてでありますが、道の貸付制度における修学資金につきましては、授業料や教科書購入に要する経費などを対象としているものであり、 また、入学支度金については、入学時における、制服などの学校指定品の購入に要する経費などを対象としているところであります。
 
返還状況につきましては、先ほどもお答えしましたとおり、1名となっているところでございます。
 
一方、北海道ウタリ協会の貸付制度は、入学に際し、納入が義務づけられている入学金などを対象としているところであります。
 
このウタリ協会の貸し付けの原資は、道からウタリ協会に対し、1年契約で貸し付けており、ウタリ協会から道へは、年度末に全額返還されているところであります。
 
なお、ウタリ協会における、大学に係る貸付金の返還状況につきましては、昨年度までの実績で申し上げますと、273件の貸し付けに対し、12件の未償還者がおり、また、減免規定については設けていないところであります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 大学に行く者に、ウタリ協会でも道の方でもお金を貸している。その趣旨が多分同じである貸付制度で、ウタリ協会で貸している方はほとんど返ってきている のに、皆さんの貸付制度は、返さなくてもいいような制度になっているというのは、明らかに整合性がとれないということをしっかりと認識していただきたいと 思います。
 
なぜ、返さなくていいと皆さんが思っているのか。ウタリ協会の制度を見たら、皆さんのやっていることがおかしいということに気づくはずだと思います。
 
次の質問に移ります。
 
貸付制度の返還額等についてでございますが、アイヌの方々への貸付制度は、この大学修学資金のほかに、多くのものがございます。貸付金であるにもかかわら ず、返ってきていないものが多くあると思いますが、それらの総額は一体幾らになっているのか、アイヌ施策を取り仕切る環境生活部にお伺いいたします。
長谷川総務課参事
 貸付制度における返還額などについてでありますが、アイヌ子弟大学等修学資金等貸し付けでは、減免対象となった額は、先ほど申し上げました21億1612万円となっております。
 
このほか、北海道ウタリ協会が行っている、大学入学資金や福祉資金などの貸し付けにおきましては、在学中のため償還猶予をしているものを除き、407万円が未償還額となっております。
 
また、市町村の貸付事業であるアイヌ住宅資金の貸し付けにおきまして、貸付総額の142億3283万円に対し、未償還額は、元金及び利息を含め15億3239万円となっております。
 
これらの減免した額と未償還額を足しますと36億5258万円となります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 貸し付けたお金が、36億5000万円返ってきていないということでございます。
 
これだけ道財政が大変で、しかも、道内の経済が冷え込んでい て、道民の生活が本当に大変な状況にある中で、36億円返っていないというのは大問題でありますし、また、納税者の道民が、この36億円が返ってきていな いことによって、逆に、ウタリ協会、アイヌの方々に対して変な偏見を持つというのはマイナス効果であると私は考えるわけでございます。
 
制度を しっかりと運用して、道民の皆さんに誤解のないようなことをしっかりとやるのが皆さんの役割であると思っておりますが、36億円返っていないままでずっと いくと、皆さんが思うアイヌ施策の充実が本当に図られるか、甚だ疑問に感じざるを得ませんので、ここら辺のことはしっかりとやっていただきたいというふう に思うわけでございます。
 
そこで、貸付制度の見直しについてお伺いをしますが、今、巨額の貸付金が返ってきていないという事実が明らかになりました。道は、本当に問題がないというふうにお考えになるのか、見解を伺います。
 
また、これだけ多くの問題がある制度というのは、アイヌ施策を充実させる上で、抜本的に見直す必要があると考えておりますが、道はどのように考えるのか、見解をお聞かせください。
高井環境生活部長
 アイヌの人たちへの貸付制度の見直しについてでありますが、北海道アイヌ子弟大学等修学資金等の貸し付けにつきましては、過去の事例などにかんがみ、貸付期間の短縮などの制度の変更や事務手続の改善など、適宜、見直しを行ってきたところであります。
 
しかしながら、貸付制度につきましては、ただいま御指摘いただいたような検討すべき点がありますことから、今後、文部科学省や関係団体と協議しながら、早期に検討してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 今の答弁では非常に納得できません。というのは、問題についての認識、意識のレベルが非常に低いということでございます。
 
一つ確認したいのですけれども、986人にお金を貸して、そのうち、何人について減免をして、何名が卒業をされたのか、いま一度お教え願えますか。
長谷川総務課参事
 借り受け者における卒業者等の数字についてでございますが、平成15年度から19年度までの5カ年におきまして、減免した人数は233名となっており、このうち、卒業者は187名、中退者は44名となっており、休学者は2名でございます。
 
なお、書類の保存期間につきましては、北海道文書管理規程により、5年となっておりますことから、これ以前の内訳については確認できなかったところであります。
 
以上でございます。

小野寺委員

 1点確認しますけれども、退学した方についても減免したということでよろしいのですか。
長谷川総務課参事
 退学者に関する減免についてでありますが、条例及び施行規則による返還事由が生じたときということで、退学した段階で審査をいたしておりまして、減免いたしております。
 
以上です。

小野寺委員

 では、例えば、4年間、全く学校にも行かず、勉学もせず、授業料が一番安い大学を探して、そこのお金を払い続け、最終的には年間100万円以上もらい続けている、そういう学生に対しても、すべて、道としては減免してしまったことがあるということでよろしいですか。
長谷川総務課参事
 修学の確認についてでありますが、毎年、借り受け者から申請をいただき、審査をしているところでございます。
 
以上でございます。

小野寺委員

 もう一度答えてほしいのですけれども、例えば、もし、本人にだまそうという意思があるとすれば、毎年、お金を貸してくださいと言うわけです。その学生が 本当に学生としてしっかりと勉強をしていたということは確認されていないやに聞いているのですが、それは確認していたということでいいのですか。
長谷川総務課参事
 修学状況の確認についてでありますが、修学実態については確認はしておりません。

小野寺委員

 ということは、そういう生徒がいたというふうに思っておりますし、その如実な例として、14年間、通信制大学にいて、1000万円以上もらっていて、し かも、道はその内訳が全くわからなかった、これが如実な例だというふうに思っております。道民に対してどう責任をとるのか、私は、そこを皆さんに一番聞き たいところでございますが、時間の関係上、次の質問に行きます。
 
次に、アイヌ人の認定についてお伺いしますが、アイヌの方々は補助制度の対象ということで、厳密に認定をしなければならないというふうに思いますが、どういうふうに認定をされているのか、お聞かせください。
岡田環境生活部次長
 アイヌの人たちの認定方法についてでございますが、社団法人北海道ウタリ協会の会員規則におきましては、北海道に在住し、1といたしまして、アイヌの血 を引き、なおかつアイヌ民族であるとの自発的意志を持つ者、2として、アイヌの血を引かないが、アイヌの家庭でアイヌとして育てられ、アイヌ民族であると の自発的意志を持つ者、3として、これらの者と婚姻関係にある者とされておりまして、このうち、2と3につきましては、理事会の決議を経て、理事長の承認 を得た者とされているところでございます。
 
道といたしましては、北海道ウタリ協会の会員資格の考え方を基本に、補助制度などの対象者としているところでございます。

小野寺委員

 この補助制度の対象者についてですけれども、それぞれ、1、2、3、何人ずつかをお教え願えますか。
長谷川総務課参事
 北海道ウタリ協会の会員についてでありますが、これは、会則の中で決めていらっしゃることであり、私どもとしては確認しておりません。
 
以上です。

小野寺委員

 確認していないといっても、補助制度の対象者ですよ。この方たちに税金を使うのに、それぞれ、どのカテゴリーに入るのかがわからないというふうにおっ しゃるのなら、おっしゃるで結構ですが、多分、2、3については、理事会の決議として諮っているはずですし、道のウタリ協会の事務局長は道の職員がずっと 派遣されているので、ここは知らないということにならないと思いますが、いかがですか。
岡田環境生活部次長
 アイヌの人たちの認定についてでございますが、その認定に当たりましては、血のつながりと、アイヌとしての帰属意識が基本となるという北海道ウタリ協会の考え方を尊重しているところでございます。

小野寺委員

 答えていないのですけれども、では、それぞれ、理事会の決議を経て、補助制度の対象となった者がどれぐらいいるのか、教えてください。
 
という のは、2と3については、アイヌの血を引かないがというのが2で、3は、これらの者と婚姻関係にある者ということで、すなわち、アイヌの方ではなくてもウ タリ協会に入れる。道民からすれば、この方に補助制度を使うというのは慎重にやるべきだと。だから、この人数だけでも教えてください。
長谷川総務課参事
 ウタリ協会の会員についてでありますが、これは、ウタリ協会の会員規則に基づき、判断、決定していることでありますので、私どもとしては承知しておりません。
 
以上であります。

小野寺委員

 では、ウタリ協会の事務局長に道職員が行っていたという意味は、どういうことになるのですか、お聞かせ願えますか。
長谷川総務課参事
 北海道ウタリ協会へ派遣していた事務局長についてでありますが、平成9年当時、道から北海道ウタリ協会に事務局長として派遣した者につきましては、現在、退職しております。
 
以上でございます。

小野寺委員

 まあ、いいでしょう。しかし、そんなことを言ったら、昔のことは何もわからないという話になりますよ。
 
道民の税金を使って、ウタリ協会の事務局長に出していたのですよ。だけれども、ウタリ協会の内部のことはわからないと、そんなことで本当に済むと思ったら大間違いです。
 
次の質問に行きますけれども、今までのアイヌの方たちの認定というのは、本当にアイヌなのかどうなのか、しっかりと把握できていない、しかも、皆さんが おっしゃったように、この内訳すらわからないというような状況で、本当に問題がないとお考えでしょうか、お聞かせ願います。
岡田環境生活部次長
 アイヌの人たちの認定についてでございますけれども、先ほどもお答えしましたとおり、その認定に当たりましては、血のつながりと、アイヌとしての帰属意識が基本となるという北海道ウタリ協会の考え方を尊重しているところでございます。

小野寺委員

 まあ、いいです。
 
次に行きます。
 
このウタリ協会の会員についてですけれども、実は、平成8年までは、ずっと4名から2名で推移して いた羅臼支部というものがありますが、平成9年に、いきなり208人になっております。平成13年には279人にまで増加をして、平成14年、一転して 74人に減少をしております。これは不自然で、異常な会員の増減であるというふうに思っておりますが、道は、このことをおかしいとお考えにならなかったの か、そのとき、どのように情報を収集し、処理していたのか、お聞かせ願います。
岡田環境生活部次長
 北海道ウタリ協会羅臼支部の会員についてのお尋ねでございますが、北海道ウタリ協会への会員の入退会につきましては、協会の規約に基づき、各支部ごとに行われているところでございます。
 
平成9年から平成14年における当支部の会員数の急激な増減は、委員が御指摘のように、不自然と考えられますことから、その当時の実態について早期に調査をしてまいりたいと考えております。
 
なお、北海道ウタリ協会各支部における会員数につきましては、協会の総会・代議員会の議案書に記載されておりますが、道においては、その当時、支部会員の 増減についてはチェックしていなかったと推測され、調査を行ったという実績は残っていないところでございますが、北海道ウタリ協会や当時の支部関係者な ど、それから、先ほど委員から御指摘がありました、派遣されて在職していた道職員からも話を聞くなどして、できる限り、その実態を確認してまいりたいと考 えております。

小野寺委員

 答弁書にはない言いわけをされましたけれども、実際に増減がわからなかったというふうに言っていますけれども、理事会で、羅臼支部の件でもめているじゃ ないですか。事務局長を出しておいて、この理事会書類を読むだけで、どうして羅臼支部がこんなにふえているのかを調査すべきだと、ウタリ協会の役員の方が 理事会で発言しているということについて、知らないということは私は納得できませんけれども、これは後から聞くとして、次の質問に行きます。
 
調査したことがないのですから、早急に調査をしていただきたいというふうに思います。調査というのは、結果も出していただかなければなりませんので、この二百七十何人すべてがアイヌの方々だったという報告もお待ちを申し上げておきます。
 
次に、申請者の数及び事業費についてでございますが、この地域に対して執行された補助金や貸付金はどのように変化をしたのか、お教え願えますでしょうか。羅臼の地域についてです。
長谷川総務課参事
 申請者数や事業費についてでありますが、平成9年度における、北海道ウタリ協会羅臼支部の協会への加入申請者の総数については承知しておりませんが、協会においては、規約に基づいて、新たに会員とされたものと考えております。
 
次に、補助金等の事業費の変動についてでありますが、先ほども申し上げましたとおり、道の公文書につきましては、公文書等の管理に関する規則や規程などに 基づき、保存、廃棄しているところでありますが、担当の支庁におきまして、進学奨励費にかかわる関係書類を平成11年度から保存しております。
 
この地域において執行されました、高等学校、専修学校、大学の進学奨励費を利用した人数及び事業費を申し上げますと、平成11年度は27人で1048万 円、平成12年度は32人で1214万円、平成13年度は27人で1128万円、平成14年度は27人で975万円となっております。
 
以上でございます。

小野寺委員

 私の質問は、平成8年に2人だった会員が、平成9年に200人以上になった、そのときに、どういうふうにこの地域で補助金等の支出がふえたのかを聞きたいという質問でございましたが、捨てちゃったという話でございます。
 
ただ、この当時の新聞がございまして、北海道ウタリ協会羅臼支部は、会員が200人以上となったことから、初めて支部の会合を開いたと。このときは町長も ごあいさつをされているようでございますけれども、その中で、参加された人たちに対して、高校や大学への進学等への給付金、貸付制度、その他の制度につい て説明して、出席者は熱心に耳を傾けていたというような記事がございます。
 
こういう記事が出ているということは、その当時の調査をしっかりとし ているのであれば、その資料はあるはずで、それを捨てちゃったという、道の責任感のなさというか、情報のどこが大切で、どこが大切じゃないのかという情報 管理そのもの自体に疑問を持たざるを得ません。捨てたとしても、調査はしっかりと行っていただきたいというふうに思います。
 
次に、ウタリ協会支 部の会員の確認についてでございますが、このとき、ウタリ協会羅臼支部で会員が270人以上にふえたということに関して、ウタリ協会でも、全員が間違いな くアイヌの方々だと思っていたのかというのは甚だ疑問でございます。このような異常な会員数の増加に対して、道はしっかりと調査を行ってきませんでした が、これに対して本当に調査を行っていくのか、もう一度お聞かせください。
岡田環境生活部次長
 北海道ウタリ協会支部会員の確認についてでございますが、北海道ウタリ協会各支部における会員数につきましては、先ほどもお答えしたとおり、協会の総 会・代議員会の議案書に記載されておりますけれども、道としては、当時、その実態のチェックはしていなく、調査を行ったという実績は残っていないことを先 ほど答弁させていただきましたが、委員が御指摘の疑問点につきましては、今後、できる限り、北海道ウタリ協会や当時の支部関係者などから話を聞くなどし て、その実態を確認、調査してまいりたいと思います。

小野寺委員

 あと、私が確認をしたいこととして、アイヌ人の認定ということで、個人的、恣意的な判断が入ってしまう可能性があるということは非常に危険であると思っ ております。私はアイヌだと手を挙げて、その地域の支部長さんが、間違いないと判こを押した段階で、ウタリ協会の会員になれるというのは、非常に悪意を 持った方が入ってくる可能性も十分にある、そこら辺は、道としてもしっかりと監視をしていくべきであるというふうに考えておりますが、今後どのようにされ るのか、お伺いします。
高井環境生活部長
 今後のアイヌ人の認定についてでありますが、補助制度などの対象となる者に関し、ただいま御指摘いただいたような疑義が持たれることのないように、今 後、認定に際しましては、道として、審査基準の厳格化を図るため、チェック機能を高めるとともに、北海道ウタリ協会に対しましても、厳格な審査を適正に行 うよう、指導してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 本当に可能なのでしょうか。グレーなことに関しても、すべてウタリ協会任せということで、道は、問題の認識もしっかりとされておりません。
 
平 成12年1月24日のウタリ協会の理事会の議事録でございますが、そこでも、理事の方は、羅臼支部会員はちゃんと調査してもらわないと困ると会議で発言を しておりますし、調査委員会について理事会で承認して、この調査を行う旨の発表もございますが、実際、その調査はどのようになったのか、道として把握して いますでしょうか。
 
この団体が補助事業の対象者を決めているということは、道民、納税者のお金の使い道を決めるということですから、非常に重要なことです。この点を確認されているのかどうか、お聞かせください。
長谷川総務課参事
 北海道ウタリ協会における調査についてでございますが、調査結果については出ていないと聞いているところであります。
 
以上です。

小野寺委員

 済みません。もう一度お願いできますか。
長谷川総務課参事
 北海道ウタリ協会における調査についてでありますが、その後、調査し、結果が出ているかということについては、出ていないということで聞いております。

小野寺委員

 ウタリ協会の何人もの役員の方が、この羅臼支部会員の増加はおかしいだろうということで、理事会でも問題になっていて、調査しなければならないと。税金を使う補助事業の対象者を決めるのですから、これは当然です。
 
その組織自体で調査もできないというような組織に、ウタリ協会会員の認定の権限をすべて与えても、何も問題がないというふうに道として本当にお考えになりますでしょうか、見解を聞かせてください。
高井環境生活部長
 アイヌ人の認定のあり方についてでありますが、先ほどもお答えいたしましたが、道としても、そうしたことについてチェック機能を高めるとともに、ウタリ協会に対しても、厳格な審査について、あわせて強く指導してまいりたいと思っております。

小野寺委員

 いや、道の認識をお聞かせ願えますか。
高井環境生活部長
 これまで北海道ウタリ協会の判断を尊重してきたということを答弁させていただきましたが、それだけではなくて、道としてもチェック機能を高めてまいりたいというふうに思っております。

小野寺委員

 そうではなくて、この団体に、補助事業の対象となる人を決める権限を与えて何ら問題はないと本当にお考えなのかどうなのか、見解を伺っているのです。
高井環境生活部長
 これまで御指摘いただいたような、ウタリ協会に対する疑義に対して、今後は持たれないように、補助制度を活用する団体にふさわしい団体であることを確認しながら、道として対応してまいりたいと思っております。

小野寺委員

 私は、ウタリ協会がけしからぬと言っているわけではなくて、ウタリ協会をしっかりと管理するというか、意見具申をする皆さんがだらしないというふうに言っているわけでございます。
 
実際に、ウタリ協会の方に、これだけの人数がふえたのだったら、しっかりと調査するようにというふうに言えたはずですし、道もしっかりと調査をする必要があったというふうに思います。
 
ウタリ協会は、もし税金を使うのだとしたら、会員がふえようが減ろうが、痛くもかゆくもないわけで、税金を使う痛みというのは道の皆さんに持っていただき たい。その意識がないということで質問をしているわけでございます。本当に、しっかりと税金が使われるような認定の方法にできるのかどうか、お伺いしま す。
高井環境生活部長
 そのようにしてまいりたいと思っております。

小野寺委員

 アイヌ施策については、答弁がずっとかみ合わなかった、今回に関しましてもかみ合わない部分があったということで、この部分に関しては知事総括質疑の方に上げさせていただきますので、委員長、お取り計らいの方をよろしくお願い申し上げます。
 
次に、環境生活部における特別職非常勤についてお伺いします。
 
道立施設への再就職について伺いますが、道職員OBの再就職に対して、道民は非常に高い関心を持っております。
 
現在、道職員OBが、関与団体や、道からの仕事を受注している会社へ再就職する際の再就職取扱要綱の見直しが議論となっていますが、道立施設への再就職の 規定はございません。それはなぜなら、そんな非常識な再就職はあり得ないと想定しているからにほかならないというふうに私は考えておりますが、実際には、 道職員OBが道立施設へ特別職非常勤で再就職をしております。これは、関与団体や関連企業に再就職するよりも、道民から非難されるべきものであるというふ うに考えます。
 
そこで伺いますが、環境生活部において、このような道立施設へOB職員が再就職している事例があるように聞いておりますが、事実はどうなのか、お聞かせください。
岡田環境生活部次長
 道立施設への道職員の再就職についてでございますが、道を退職した後、特別職非常勤職員として、知事部局の道立施設に再就職している者は、平成21年3月1日現在、道立アイヌ民族文化研究センターの所長に就任している1名となっているところでございます。

小野寺委員

 この方の勤務形態、給与等を詳しくお教え願えますでしょうか。
長谷川総務課参事
 アイヌ民族文化研究センター所長の勤務等についてでありますが、道立アイヌ民族文化研究センターは平成6年6月に開設しており、歴代所長は、4人のうち3人が元道職員であり、前職は、1人が北海道出納長、2人が北海道人事委員会委員長であったところでございます。
 
勤務の形態は、週2日、12時間勤務で、報酬額につきましては、他の道立文化施設の長との均衡から、月額42万円となっているところです。
 
以上であります。

小野寺委員

 人事委員会委員長を務められた方が、道立施設に再就職して、週2日の勤務で、年間500万円以上もらっているというのは、道民にとって納得のできないこ とだと思いますし、人事委員会委員長というのは、道庁職員の給与と民間の職員の給与を比較してどのようなものか、また、公務員の倫理を語る、そういう役目 があるというふうに思っておりますが、この方が、このような勤務形態で再就職をしていたというのは非常に驚きでございます。
 
もう一つお聞かせ願いたいのは、この給与は独自縮減されているのかどうなのか、お聞かせください。
岡田環境生活部次長
 所長の報酬額についてでございますが、給与の独自縮減措置につきましては、道財政の収入不足対策として、さまざまな経費の見直しを行った上で、なお職員 給与の減額措置により対処しているものでありますが、道の特別職非常勤職員のうち、選挙管理委員、監査委員などの行政委員会の非常勤委員については、道政 の関与度が非常に大きいことを踏まえまして、現在、独自の措置として、月額報酬を9%減額しているところでございます。
 
その他の特別職非常勤の 報酬につきましては、条例によって上限を定めており、報酬額につきましては、職責や業務の専門性、困難性、あるいは勤務形態などの業務量を考慮して決定し ておりますが、御指摘の所長の報酬については、今後、独自縮減の適用の可否について担当部と協議検討してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 答弁は長いのですけれども、していないということですよね。
 
実際に、人事委員会の委員長が勧告して、道職員の給与をカットしたわけです。セン ター長として、自分は満額もらって、今、自分の部下は全部カットされているということに対して、何も思わない元人事委員会委員長とは何なのかと私は思わざ るを得ませんが、これは早急に対応していただきたいというふうに思います。
 
また、所長の選任についてでありますが、道立のこういう施設でわざと 空席のポストにしてある、それ自体が問題であると思いますが、百歩譲って、もしここに所長を張りつけるとしたら、アイヌの文化とかアイヌ施策に十分精通し ている方というのが必要最小限の条件であると思っておりますが、実際に、この元人事委員会委員長はアイヌに関してどのような知識をお持ちなのか、お聞かせ ください。
岡田環境生活部次長
 所長に関してのお尋ねでございますが、所長の人選に当たりましては、アイヌ民族文化の研究について高い識見と理解を有する人材が適切であるとの判断か ら、平成7年から15年までの9年間につきましては、アイヌ文化に精通した学識経験者の方に就任していただいたところでございます。
 
その後、後 任として、研究者などの学識経験者から、道内在住者で、なおかつ勤務状況などの点から就任が可能な適任者が得られない状況が続いた中で、道立の文化研究施 設として、他の関係施設や大学、国内外の有識者との交流や対外的折衝はもとより、アイヌの方々など関係者との十分な意見交換に適切に対応できる能力や識見 を備えたセンターを代表し得る人材として、行政経験者も含めて人選を行うこととした結果でございます。

小野寺委員

 この元人事委員会委員長の経歴を調べさせていただきましたけれども、本庁においても、アイヌに関連する部署にいたことは全くない方でございまして、本当 にこの方が道立アイヌ民族文化研究センターの所長でいいのか、私は甚だ疑問でございますし、週12時間の勤務で事足りるような所長職であったら、兼務とい う方法もあると私は思っております。現在、多くの職員の方がいらっしゃいますが、次長だとか局長が兼務をする、そういう方法もあって、それが本当は行革の 本来の姿なのじゃないのかなと私は思っております。
 
知事も、聖域なき行革を行うと言っている割には、こういう方の給与を独自縮減しなかったり、 道の天下りのために道立施設のポストをわざわざ空席にして、偉い方をそこに居座らせる、そこに送るというのは、非常に問題があるというふうに思っておりま すが、こういうことを今後どのようにしていこうとされるのか、最後に決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。
高井環境生活部長
 道立アイヌ民族文化研究センターの所長に関して、今後の対応についてでございますが、当センターにつきましては、他のアイヌ関連の研究施設との機能分担 を整理し、道としての役割を再検討していく重要な時期でもありますことから、昨今の厳しい道の行財政環境を踏まえ、行財政改革の視点に立ちながら、ただい ま御指摘いただいたような、現道職員の兼務も含めた所長職の任用のあり方について、早急に見直し検討を進めてまいりたいと考えております。

小野寺委員

 終わります。