2005年9月22日(木) 第3回北海道議会定例会で質問
それでは通告に従いまして、順次質問をしていきます。
(公宅について)
さて、北海道の財政は危機的な状況の中、今定例会では「財政立て直し」をしっかりと議論する必要があります。我が会派の内海議員の代表質問も、「道の財政立て直しに対する意識が低いのではないか、スピードが遅すぎるのではないか?」と指摘をしたところです。
今定例会で職員の給与や手当に関しての質問が行われましたので、重複する質問はしませんが、道民から見ても「道職員が『本気』で財政立て直しに頑張っている」と思われるくらい真剣に取り組まなければならないのは当然です。
道職員が道民よりも優遇されているという制度があればこれを議論する必要があると思うのです。
そこで以下、公宅について質問を致します。
もし、倒産寸前の会社があり、その会社が全社員の40%を超える社員のための社宅を保有していたとしたら、経営立て直しのために真っ先にそれに手をつける のが普通です。そして、『その社宅の家賃』が『その地域の平均的な家賃』よりもかなり安いとしたら、その優遇部分は、会社が負担していると言うことであ り、この家賃も同時に見直されるはずです。
さて、全道の職員公宅は、知事部局、教育庁、警察本部の総数で現在、20,885戸もあり、そのうち、道が保有する職員公宅は9,619戸とのことであり ますが、その有効活用等について、何故「財政立て直しプラン」に具体的な方策が盛り込まれないのか私は非常に疑問に思っています。
そこで、まず始めにお伺いしますが、道が保有する9,619戸の職員公宅について、土地・建物の資産価値は約913億円と承知しておりますが、知事はこの職員公宅を売却する考えをおもちなのかお尋ねします。
(職員公宅について)
○職員公宅は道行政の円滑な推進を図る上で、人材の確保や職員の住生活の安定などのために整備を行っているものであり、特に広範囲な地域に多くの出先機関 を有する本道においては、転居を伴う異動が多いことから、職員の住宅確保のため、一定の公宅が必要であると考えている。
○なお、公宅そのものの老朽化や出先機関の統廃合などにより公宅として活用が困難となったものについては、他の用途へ転用することや、売却を図ることはもとより、地域の住宅情報を踏まえ、公宅数の適正化を図るなど、適正に対処してまいりたい。
次に、職員公宅は平成16年度において、月平均で1,485戸も空き公宅となっており、これは大きな無駄であります。この空き公宅を、今後、どのように解消しようとしているのかお答えください。
(公宅の活用について)
○ご指摘のとおり、全道の公宅2万戸あまりのうち、平均1,485戸が空き公宅となっており定期異動が一時期に集中して行われることから世帯構成に応じた 公宅を一定程度確保する必要があるなどの要因もあるものの、出先機関の統廃合等のため、結果として、空き公宅が生じている。
○活用が困難な公宅については市町村などへ売却を図る。
引き続き活用する公宅については地域の公宅事情を勘案しながら、原則、世帯用に貸与している公宅を独身者や単身赴任者への貸与を認めるなどこれまでにも増 して、弾力的な運用をもって、入居率の改善に努めるとともに他の任命権者と一層の連携を図るなど公宅の効率的な活用のために創意工夫を凝らしてまいりた い。
次に、道職員の公宅料についてお尋ねいたします。
道職員は給与や手当と同様に住居においても道民より「優遇」されていると思うのであります。
例えば、函館の美原団地には道営住宅も公宅も両方が建っています。鉄筋コンクリートで専有面積もほぼ同じです。この美原団地の道営住宅に平均的な道職員が 入居する場合の家賃を算出すると67,300円となりますが、それに対し三原団地の公宅料はなんと22,970円なのです。道民よりも実に65%も安い家 賃で道職員は公宅に住んでいる計算になります。
しかも道営住宅は築13年、公宅は築6年であるにもかかわらずです。
道営住宅で比較してこれですので、一般の『賃貸住宅と公宅』を比較するとその差はさらに広がるのは明白です。
道営住宅に住む道民の皆さんには高い家賃を負担させておきながら、北海道の職員がそれよりも圧倒的に安いお金で公宅に住んでいるというのはおかしな話ではないでしょうか?
そこで伺いますが、仮に、公宅に入居している道職員が、道営住宅に住んでいる道民と同じ家賃を支払うと仮定した場合、総額はどの程度の金額となるのかお示し下さい。また、民間の賃貸住宅家賃との格差を北海道としてどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
(公宅料について)
○公宅料や道営住宅家賃は、地域毎にそれぞれ異なっており、その比較を単純に行うことは困難ですが仮に、標準的な公宅料と道営住宅家賃を比較し、それを機 械的に全道にひき直して計算した場合の総額は、平成17年度現在、最低でも40億円程度となります。 ○また、公宅料と民間賃貸家賃との比較についてであるが公宅料の算定は、平成17年度現在40億円を超えることになります。
○また、公宅料と民間家賃との比較についてであるが、公宅料の算定は、主に建設費の減価償却費などをべ一スに行っており、一方、民問賃貸住宅における家賃 の算定ベースには、減価償却費のほか利益や募集広告料など公宅料に含まれない要因があることまた、公宅料や民間家賃には地域差があることから、単純に比較 することは困難でありますが、相当程度の差が生じていると承知している。
公宅においては、駐車場が異常に安いと言う問題もありますし、まだまだこの問題は質問をしたいのですが、20分という限られた時間ですので次の質問に移ります。
(ラブホテル建設規制に関する件)
次に、ラブホテルの建設規制について北海道の考え方と姿勢を伺います。
現在の法制度において「ラブホテル」という明確な基準が無いために、全国的にラブホテル建設を巡って地域住民とのトラブルが発生しています。現在、各地で 新たに建設されている「いわゆるラブホテル」は、都道府県が許可を出す「旅館業法」のホテル・旅館と営業をしており、このように法の網をくぐった形での 「ラブホテル」が堂々と建設をされ営業をしているのです。
今後、本道においてもこのようなホテルが教育施設の近くや住宅地に突然建つ可能性があるわけで、この状況を私は危惧しています。
そこで、以下、知事及び担当部局にお伺い致します。
はじめに、営業許可の件をお聞きします。
ラブホテルの建築を規制するために各市町村で「ラブホテルの建設を規制する条例」を作る動きがありますが、各自治体がいくら規制条例を作っても、都道府県 が営業許可をしてしまえば、市町村による規制条例の効果が期待できない状況にあります。私は規制条例を制定している市町村が同時に、旅館業法の営業許可を 出せるといった権限を持った方が、条例の効果が期待できるのではないかと考えるものです。
今後、北海道は大幅な権限を各自治体に移譲をしていきますが、ホテル営業許可の権限を各市町村に移譲できないのかをお伺いします。
(旅館業法に関連してホテル等の営業許可について)
○ホテル等の営業許可につきましては、都道府県並びに保健所設置市において、その権限を有しております。
○旅館業法に基づくホテルの許可などの事務につきましては、平成17年3月に道が策定しました「道州制に向けた道から市町村への事務・権限の移譲方針」に おいて、市町村への権限移譲の対象となっておりますが、ホテル等の営業許可や立入検査の際には、薬剤師や獣医師等の衛生に関する専門的な知識を有する職員 の配置が必要でありますことから権限移譲にあたっては、法令上、市町村長との協議が必要になるものと考えております。
次に地域住民による都市計画づくりですが、現在、ラブホテルの建設に対しては、関係する市町村や住民が対応に苦慮している現状にあります。都市計画は、住 民との協働により進めるべきであり、市町村においては、都市計画マスター・プラン策定時にとどまらず、個別の都市計画の決定においても、できるだけ初期の 段階から住民が参加し、その意見を反映できる仕組みの構築を図るべきとされています。そこでお伺いしますが、都市計画上どのような規制ができるのか、また 住民の意向がどのような形で反映されるのかお伺いいたします。
(都市計画の規制などについて)
○都市計画法では、ホテル・旅館等については、用途地域による規制のほか、一定の地区において用途地域の指定を補完して定める特別用途地区や、良好な環境 の街区を整備・保全するために定める地区計画などの制度を活用することにより、市町村の権限で土地利用の規制が可能である。
しかしながら、ラブホテルについては、ホテル・旅館との区分が難しいことから、ラブホテルに限定した都市計画法による規制はできないものと考えているところ。
○また、住民の意向の反映については、従来から、公聴会の開催や都市計画の案の公告縦覧に際して、住民が意見を述べることができるほか、平成14年の都市 計画法の改正により「都市計画の提案制度」が創設され、土地の所有者など法の定める要件を備えた住民等は、都市計画の決定または変更を提案することができ るようになったところ。
また、情報開示に関してですが、近くにホテルが建設される近隣の住民や教育機関の方は、そのホテルが普通のホテルか、いわゆるラブホテルかは建っ てみないとわからない状況に置かれています。住民が建設を予定している、または建設中のホテルの図面を見ることが出来ないからです。このホテルには会議室 や食堂はあるのか。本当にシングルの部屋は必要以上に広くないのか。地域住民はそのような情報を欲しがっています。住民側が一定の条件をクリアすればその ホテルの設計図を見られるようにすることは可能なのかどうか見解をお伺いいたします。
(設計図の閲覧などについて)
○建築基準法においては、建築確認を受けた建築物について、住民などから関係図書の閲覧の請求があった場合には、主要用途や規模、構造などの概要が記載さ れた建築計画概要書を閲覧させなければならないと規定されていますが、部屋の配置や間取りなどがわかる設計図は、閲覧の対象となっていないところ。
○また、旅館業法においては、構造設備を明らかにする図面などの閲覧に関する規定がないところ。
○なお、道に対し、地域住民からホテルに関する設計図などについて北海道情報公開条例による開示請求があった場合は、条例の規定に基づき対応することとしている。
さて、近年、施設の構造や設備内容により容易に、規制対象外のラブホテルが建設されることで、地域住民の生活環境や青少年の健全な育成に障害を及ぼすなど、社会問題化しております。
実際、現在北海道においても、幼稚園の近くにこのようなラブホテルが建設中で、住民が戦っている都市もあるのです。道として青少年の健全な育成の観点から検討が必要と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
(青少年の健全育成について)
○地域住民やそこに住む青少年が安心して暮らすためには、地域が一体となって青少年の健全な環境づくりを進めていくことが、極めて重要なことと考えている。
○他方、道内の部の市町村において、近年・いわゆるラブホテル紛いのホテルが建設され、子どもを抱える親御さんや地域住民、さらには学校関係者などに大きな問題となっていることは、憂慮すべき状況にある。
○議員ご指摘のように、現行法上では、事前の建設規制は難しいと考えておりますが、今後、道としては、青少年の健全な育成という観点からもどのような対応が出来るのか、検討を進めてまいりたい。
(本道における聾教育について・教職員の服務に関する件)
次に教育長に質問をさせていただきます。
まずは、本道における聾教育についてお伺いします。
文部科学省の学習指導要領によると
「聴覚に障害がある場合には補聴器を付けて聞くこと、読話すること、また話すことや書くことの他にキュード・スピーチや指文字、手話などを用いるコミュニケーション手段である」とされています。
私は、生徒の障害の状況を教育サイドが的確に捉え、子供にとってどのコミュニケーション手段が望ましいのかを子供の意見を聞きながら、親身になってご家族 や生徒にとってもっとも望ましい「教育環境」をつくるのが道教委の仕事だと思います。しかし、実は学校はじめ道教委サイドが、100%聾唖者の立場にたっ て教育を考えているかと言えばそうではない部分もあると言うことで愕然としました。そこで以下お伺いします。
文科省の聾教育の学習指導要領には「児童生徒の主体性を尊重する」と明記されていますので、道教委しても当然、聾学校に通っている生徒に意識調査 等を行うのが普通です。しかし、実際にそれは行われていません。障害の程度によっては「保有する聴覚などを十分に活用する」「口話のみだけで勉強やコミュ ニケーションをする」といった手段が苦痛で、手話が良いと思う生徒もいるはずですし、主に手話と日本語の読み書きを含めた、いわゆる「バイリンガル教育」 を望んでいる生徒も少なくないはずです。
そのような生徒の現状や比率すらも把握していない状況で、本道において素晴らしい「聾教育」ができるのでしょうか?道教委が聾教育を充実させたいと思っているという想いが全く伝わってこないのです。
生徒達に「自分にはどのコミュニケーション手段が一番適しているか?」といった、基本的な「意識調査」すら行ってこなかったのは何故なのでしょう?どうしてそのようなことを道教委で把握してこなかったのかお伺いします。
(聾学校における教育について)
○聴覚に障害のある幼児児童生徒が、体系的な言語を身に付け、意思の相互伝達能力を高めていくためには、一人一人の児童生徒等の障害の状態や発達段階等を考慮し、適切なコミュニケーション手段を選択・活用することが大切である。
○このような考え方のもとに、各聾学校においては、一人一人のコミュニケーション手段について、児童生徒本人や保護者の意向を把握し、それらも踏まえなが ら、聴力の状態や言語の習得状況等を専門的な見地から把握した上で、長期的な見通しのもとに選択・活用しているところであり、道教委としても、このような 取組が一層適切に行われるよう、
今後とも各学校の指導に努めてまいる。
また、手話は口語と並列で同じように重要なコミュニケーション手段であることは、文科省の指導要領にも書かれていますが、何故、本道聾学校における教職員 の手話の習得状況すら道教委は把握して来なかったのでしょうか?更に、本年度、聾学校に新規採用された教員についても、どれくらいが手話を出来るのかすら 把握していなかったの何故なのかお教え下さい。もし「手話」は必要であるとお考えなら、今後は手話が出来る先生を採用する努力をし、既に働いている教職員 についても手話が出来る比率を高くする必要があると思うのです。現在、道立の聾学校で働いている教職員の手話の習得状況ですが、今回、私が質問をするとい うことでその人数と比率をやっと調べて頂けました。それによると本道聾学校の教職員の75%が手話で授業が出来ないレベルだということです。他の自治体で は既に手話の出来る教員を増やすためのカリキュラムを組んでいますが、道教委としてもそのことを後押ししていく必要があると思いますが見解をお伺いしま す。
(教職員の指導技術の向上等について)
○聾学校等の教員の採用に当たつては、一般教養や専門教科などの検査に加え、特別支援教育全般にわたる専門検査を実施しており、今後の特別支援教育を担う教員の確保に努めているところ。
○また、道教委としては、これまで、個々の教職員の手話の習得について詳細な調査は行ってこなかったが、手話や指文字、話し言葉、書き言葉などの様々なコ ミュニケーション手段を活用して、一層質の高い指導ができる教員を増やすことが大切なことと考えており、今後、個々の教員に係る手話などの習得状況を把握 し、道立特殊教育センターと連携を図りながら専門的な指導技術の向上に努めてまいる。
次に、現在、聾学校で勉強をしている生徒に関してですが、これに関しても、今回私が質問に立つことのよって、児童が『どのコミュニケーション手段が自分に とってもっとも良いか?』という情報をようやく収集していただきました。いままでこんなことすら行ってこなかったのには驚きますがもっと、生徒の人権を尊 重してあげて欲しいと思うのです。今後は生徒の考えや状況をしっかりと道教委として把握をして今後の北海道としての聾教育の方向性を考えていっていただき たいのです。
さて、高校前の児童においては、家庭でのコミュニケーション手段は手話中心の生徒が15%もいるのに、授業では0%であるというのは、授業での手話の重要 性を軽視していると言わざるを得ません。また、高等部の生徒においては授業では実に98%の生徒が口話と手話の両方をコミュニケーション手段としているの です。こういう状況を勘案すると、早い時期から手話を含めた「バイリンガル教育」といった視点も必要だと強く思うのですが、道教委の見解をお伺いします。
(聾学校における指導方法について)
○道教委としては児童生徒等の障害の状態や発達段階等に応じて、手話や口話などのコミュニケーション手段の適切な活用を図り、意思の相互伝達が円滑に行わ れることが大切であると考えており、今後とも、こうした考え方に基づき、聴覚障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導が行われるよう努 めてまいる。
聾唖者の方々の悩みや苦しみは、我々聴覚に障害がないものにとっては解らない部分の方が多いと思います。本道の聾教育の発展の為にも、そしてなにより今、 聾学校で学んでいる子供達の将来の為にも、本道の聾学校を卒業した卒業生からも幅広く意見を聞いてはいかがでしょうか?聾唖者の方が社会に出てから考える 「聾学校の在り方」は非常に大切な示唆を我々に与えてくれると思います。道教委の見解をお伺いします。
(聴覚に障害のある方々からの意見の聴取等について)
○道教委としては、
聾学校の教育などについて、聾学校の卒業生を含め、聴覚に障害のある方々からご意見や要望を伺うことは大切なことと考えており、これまで、知事部局と連携し、関係団体の方々と定期的に懇談を行うことなどしてきたところ。
○また、聾学校においては、卒業生等を学校評議員として委嘱しご意見を伺うとともに、PTAの研修会などで、卒業生の体験談を聞く取組を行うなどしている ところであり、今後とも、卒業生を含め、聴覚に障害のある方々からの経験やご意見を十分に伺いながら、聾学校における教育の推進に努めてまいる。
最後に、教職員の服務に関する件について質問をいたします。
教職員が勤務時間中に公務として外勤をしなければならない場合もあるかもしれません。しかし、公務とは呼べない用件で教職員が外勤をしているとしたら、それを見過ごすわけに行かないのは当然です。そこで以下お伺いします。
まずは外勤の定義ですが、道教委は教職員の「外勤」をどのように定義づけているのかお伺いします。また外勤は各学校の校長が許可を出しますが、校長は「外 勤」の定義をしっかりと認識し、学校によってその判断がまちまちであってはならないのではないかと思いますが、道教委はどのようにお考えになるかお聞かせ 下さい。また、各学校の「外勤許可」の判断が同じであるということ確認をしているのかを合わせてお伺いします。
(外勤について)
○教員の職務は、学校教育の事業及びそれに関連する事業を処理することとされており、校長の命を受け、公務として一時学校を離れて用務を行う場合は、出張 を除き外勤の取扱いとなるものであり、道立学校職員にあっては、校長が、外勤簿をもって命ずることとしております。
○道教委といたしましては、道立学校長等に対し、教職員の服務に関しては、適正に行うよう通知し、徹底を図ってきたところであります。
また、抜き打ちで調査してみましたところ、外勤は公務と同じであり、校長が判断をして許可をする必要があるにもかかわらず、札幌のある道立高校では、4月 から9月までの80件以上の教職員の外勤に対し、その外勤が妥当か否かの決済を校長が行わず外勤が繰り返され、未だ校長の決済印もないままの状態です。厳 密であるべき「職員の外勤」に対する学校の甘い認識とずさんな外勤簿の管理の実態を道教委はどのように考えるのか見解を伺います。
(外勤簿の整理について)
○この度、一部の道立学校におきまして、外勤簿の整理に適切さを欠いている事例が見受けられたことは、残念なことであり、直ちに指導したところであります。
次に、札幌市の教職員の外勤に対する問題についてお伺いします。札幌市は政令都市ではありますが、教員に支払われている給与は北海道から支払われているの ですから、問題が発覚した場合には早急に対処するのが、北海道民の為に働いている道庁・道教委の当然の責務だと考えますので以下、端的にお伺いしてまいり ます。
札幌市内の小中学校の教職員の外勤簿を見てみますと、業務内容が「札教研」ということで、通常の勤務時間に外勤ということで学校にいない先生が多数いるこ とがわかりました。この札教研とは「札幌市教育研究協議会」なる任意団体でありますが、札幌市教職員組合と札幌市教育委員会、札幌の小中学校校長会の3者 で成り立っている団体だと認識をしております。
そこでお伺いしますが、札幌市教育委員会では任意の団体である札教研の集会等を「公務」として位置付けていると聞いておりますが、本当に公務といえるので しょうか?道教委の見解をお聞かせ下さい。また、もし任意の団体であっても公務と認められる団体とそうでない団体があるのならその法的根拠もお示し下さ い。
(札幌市教育研究協議会の研修事業について)
○札幌市教育委員会によりますと、札幌市の各学校長において、札幌市教育研究協議会が開催する研修事業への参加については、教職員の資質能力の向上に資するものであり、職務の一環として行われる研修と判断し、「外勤」を命じているとのことであります。
○道教委といたしましては、教育委員会が主催して行う研修のほか、各種の教育研究団体などが主催する研修についても、職務の一環として認められる場合には、校長において外勤として参加を命ずることができるものと考えております。
また、札幌のある小学校のある教諭は、この札教研の事務局にずっと通勤をするように外勤をしています。昨年の6月は22日間、ほぼ毎日10時10分?16 時55分まで札教研事務局に外勤をしていますし、本年の6月を見ても13日、毎回12時20分?16時55分までこの事務局に「外勤」しているのです。
この外勤の状態は誰が見ても異常だと言わざるを得ません。しかも、外勤理由が全て「札教研の事務局にかかる業務」となっているのです。
そこでお伺いしますが、ある教員が任意団体の事務業務のために毎日のようにその団体に行っている状態は地方公務員法35条の職務専念義務違反に抵触する恐れはないのか、「職務専念義務違反の免除」として認められるのか道教委の見解をお伺いします。
(札幌市の教職員の服務の取扱いについて)
○道教委といたしましては、
任命権者である札幌市教育委員会が、判断するものと考えており、市教委によりますと、札幌市教育研究協議会が行っている研修事業などの業務は、教員の教育力を向上させるために有益な業務であることなどから、公務として扱ってきたとのことであります。
また、この教員が毎日のように学校にいない状況でどのように、この先生の授業の穴埋めが行われていたのか、また、この先生が努めていた小学校は、県費負担教職員定数の配置基準に合致した状態であったのかどうかを伺います。
(札幌市に係る教職員の定数措置について)
○市教委から教職員の教育力向上のため、3名の教職員配置の要請がありましたので、道教委といたしましては、「県費負担教職員定数配置基準」に基づき、定数措置しているところであります。
私は、道民が、「公務」であると明確に言えない「外勤」を繰り返している職員の分まで給与を払っていることに怒りを覚えるのは当たり前だと思うのです。も し、この外勤が公務であるといえないなら、この案件は「外勤」という制度を利用した「闇専従」そのものです。この職員の給与に関して札教委に対し事実確認 行い、給与の返還を含めた対応等を迫る必要があると思いますが見解をお伺いします。
(給与上の取扱いについて)
○任命権者である札幌市教育委員会によりますと、教員が校長の命により札幌市教育研究協議会の研修事業などの業務に携わる場合は、公務として扱っていると のことでありますが、道教委としては、改めて、市教委から、教員の勤務状況など服務の取扱いについて、報告を受けたうえで、適切に対応して参りたい。
最後の質問になりますが、実は札幌教育研究会のような性格をもった研究会が全道各地にあることが今回判明しました。ということは、じつは今札幌で 起きていることは全道各地で行われている可能性があります。外勤の取り扱いが今のように非常に曖昧なままで良いわけがありません。道教委としては早急に実 態の把握に努めるべきだと考えますが、教育長の考えをお聞かせ下さい。
(他の教育研究団体について)
○道内には、札幌市教育研究協議会と類似する5つの教育研究団体がありますが、関係市教育委員会によりますと、教員の服務の取扱いについては、適切に対処しているとのことであります。
○教員の服務規律の確保は重要でありますので、道教委としては、関係市教委に対し、再度確認をするとともに、今後とも適切に対応されるよう指導して参りたい。
以上、私の質問は終了しましたが、答弁によっては再質問をいたします。
数点 指摘をさせていただきます。
まずは、財政立て直しについてです。もし、知事がおっしゃっているように北海道が道職員一丸となって財政再建を行うなら、財政再建のためにあらゆる可能性 を探るべきだと思うのです。その一つとして私は「公宅」の問題を提起させていただきました。道職員が驚くほど安いお金で公宅に住んでいる実態があります。 何故道職員自らが「我々がせめて道営住宅並みの道民と同じ家賃を支払わなければおかしい」という発想にならないのか民間出身の私には理解の出来ないところ なのです。公宅に住んでいる道職員が、道営住宅に住んでいる道民と同じ家賃を支払うだけで、最低でも40億円以上が道の収入になるという答弁も頂きまし た。さらにこの公宅には毎年維持管理に20億円の維持管理費がかかっていますし、固定資産税相当額としても道は市町村に対して毎年4億円以上を払っている のです。道有分の公宅を全部売却できたら913億円ですが、もしこれを民間に徐々に売却をしていったとしたらこれにより道民税や事業税、不動産所得税も発 生します。
公宅は常に約1500戸が空いているという実態もあります。公宅問題一つとってもこうなのです。北海道においては道民が納得するような形でさらに財政立て直しに邁進していただくことを強く要望いたします。
次に本道の聾教育についてですが、本道においては聾学校の学生に対する意識調査を行い、学校における現状もしっかりと把握し、今後の聾教育を素晴らしいも のにして頂きたいと思うのです。教育長の答弁で、今後は手話の出来る教職員の比率を上げるように道教委としても努力をしていくという非常に前向きな答弁を 頂きましたので、是非効果が出るようしっかりと聾教育改革に努めていただくことを強く要望します。
次に教職員の勤務に関してですが、道教委においては、「外勤」の概念が曖昧で、学校によってもその判断がまちまちで、外勤簿の扱いもずさんな部分を早急に 是正していただきたいと思います。さらに、例えば郡部の学校は移動距離が4キロを超えることが多いために外勤で無く出張扱いとなる為に、外勤が全くなく、 教員が職場を離れた理由を調べるのは大変だという、不思議な現状があります。学校長の判断も明らかにまちまちで、このような現状も放置をするべきでは無い と思うのです。勤務時間の教員の外勤は、その教員に道民が給与を払っているのですから、道教委はもっと厳密に「外勤」とはいかなる業務か?公務とは何かを もっと明確にすべきであります。札幌市教委の判断がどうであれ、札教研は任意団体なのです。その任意団体の事務業務で教員が朝から晩まで働いていることは 一般常識から見ても信じられないことです。道教委は「任意団体の事務は、地方公務員法第35条に規定する『地方公共団体がなすべき責めを有する職務』には 含まれないと解される」という、旧自治省給与課長旧自治省の給与課長回答をしっかりとふまえ、道としてのこの事例に関する見解をしっかり出すべきだと思い ますし、それが道民に対する責任だと思います。
外勤とは?公務とは?という見解については、北海道がお金を支出しているという観点からみると、道教委のみならず、知事部局の人事課や人事委員会、法制文 書課等の意見を集約しながら対応する必要性を強く感じますし、実際そうしていただくことを強く要望します。さらに県費負担の職員が3名配置されたのは適正 であったのかを含め、答弁にあったように道教委にはしっかりと情報を集めていただき、然るべき対応をして頂きたくことを強く要望し、私の質問を終わります。