ただいまホームページ移行準備中です。

こちらのホームページは2015年5月29日までのものです。

WTO交渉が決裂!

2008 年 7 月 30 日(水)22:30 | 日記 | No Comments |

 今日、WTO交渉が決裂したとのニュースが飛び込んできました。これは北海道・十勝にとっては朗報ではありますが、これで一安心とはならないと思います。

 このニュースは十勝にとっては重大なニュースで、、十勝住民であれば農家じゃなくても大喜びしなければならないのですが、ピンと来ていない方もいるようです。

 実は、僕の大学での専攻(ゼミ)は・・・

 実は、僕の大学での専攻(ゼミ)は、「国際貿易論」でしたので、WTOのことは専門的にかなり勉強をしました。経済学という学問では、簡単に言うと「この世から関税をなくせば、地球単位で見たときに、無駄が無くなり効率が良くなる。すなわち生産性が最大になり、消費者にとっても生産者にとってもプラスになる。」とされています。そこで、「全世界の国々で話し合いをしながら、関税等を撤廃して行きましょう」という会議がWTOなのです。
 
 確かに理論上はその通りなのですが、現実の社会は理想通りにはなりません。今、日本の農産物には高い関税がかけられています。これは、本来消費者が安く買える品物を高く買わされていることを意味します。経済学では、「日本は人件費も高いし土地も無いのだから農業には向いていない。もっと安く農産物を生産できる国から輸入したら消費者にとってプラスになる。また、生産国は日本よりも安い農産物をもっと沢山作れるはずなのに、日本が輸入で制限をしているから生産できずにいる。日本は車や電化製品を輸出して大儲けているくせに卑怯ではないか。日本政府が異常に高い関税を海外の農産物にかけているのは本当にけしからんことだ。」ということになります。

 しかし、日本が海外の農産物に高い関税をかけなければならない理由があるのです。それは日本の「食料自給率」です。現在、カロリーベースで40%程しか自給できませんが、海外の農産物の輸入を自由化されれば、日本農業は壊滅的な打撃を受け、自給率は驚くほど低下するでしょう。その昔、日本には沢山のレモン農家がいましが、アメリカからの圧力でレモンが自由化されるや否やレモン農家はほとんど無くなってしまいました。同じことが起こるのです。極端なことをいうと、仮にすべての品目の輸入の自由化が決まれば「北海道農業・十勝農業」もほとんど無くなってしまう可能性も否定できません。

 輸入の自由化により、消費者が安く農産品を買える代償として食料自給率がゼロに近づいてしまいます。そうなってしまってから、世界的な異常気象が原因で「世界規模で農産物が不作だった」という事態に陥った場合、多くの日本国民が餓死してしまうでしょう。そうならないために、日本政府は「日本農業を守る」という観点から外国の農産物に高い関税をかけているのです。

 今回、WTO交渉が決裂したことによって今後はどのような展開になっていくのか僕にはわかりませんが、世界的に「関税は撤廃して行こう」という方向性は変わらないと思います。今回、日本はロスタイムのような時間をもらったのですから、「今後いかに自給率を上げていくのか」ですとか「日本農業にどのようにして国際競争力をつけさせるのか」といった根本的な施策を早急に打ち出す必要があります。そのためには、農家は高い関税の上にあぐらをかいているのではなく、農産物の価格を下げていくという視点で努力をしなければなりません。消費者も地元農業を応援しなければなりませんし、政治家も今後の農業についてもっと真剣に議論していく必要があると思っています。

 いずれにしても、この問題は我々が「生きるか死ぬか」という大問題ですから今後とも注視していかなければなりません。

追伸 今日は札幌です。ビアガーデンが始まっているのですね。大通りの人の多さに圧倒されました。僕はアルコールが苦手なので、大通り公園のビアガーデンには1度しか行ったことがありませんが、この経済波及効果はどれくらいあるんでしょうか。すごい額なんでしょうね・・・。
 

コメント投稿